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3度

ええ、25歳になりました。
みなさん、有難うございます

観ました。
『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』(監督:トミー・リー・ジョーンズ)

笑わない宇宙人トミー・リー・ジョーンズの初監督作品。
延々1カットが続いて芝居をだらだら見せる感じの映画とかだったら嫌だな、と思いつつ(俳優が監督する映画ってそんな感じだよね、という勝手な偏見ですが)黒沢清も評価していたということなので、レンタルしてみた次第。

実際どうだったかというと、なかなかどうして面白かったです。
メルキアデス・エストラーダというメキシコ人が殺され、その友人のカウボーイが犯人を引き連れて、メルキアデスの遺体を彼の故郷に埋葬に行く、という話。

前半は、メルキアデスが殺され、主人公が犯人を見つけるまでの話。
現在と複数の過去が錯綜する複雑な構成。
一見、今流れているシーンがいつの時点の話なのかわからないが、次第に全ての時間が絡み合い、事件の全容が紐解かれていく様は、見事。

監督自身が言うには、「古典的な語りの技法で描こうと思った」そうだ。
その通り、アメリカ映画の築いてきた映画文法を用いて、物語を非常に上手く見せている。
イーストウッドの地平へと到達せんばかりだ。

後半は一転して、物語は直線的に進んでいく。
主人公と犯人とメルキアデスの遺体が荒野をひたすら歩くロードムービー。

対等なコミュニケーションの排除が、作品を面白くしている。
主人公と犯人の間に、会話は成り立たない。
主人公は犯人に命令をし、犯人はその命令通りに動く、という主従関係のようなものだ。
当然、死体はものを言わない。
旅の途中で出会う人物も、盲目の老人だったり、言語の違いがあったり、コミュニケーションの困難が常に画面に付きまとっている。
それこそが、監督の意図だったのだろうが。
by isoda8823 | 2007-02-13 11:32 | えいが道 | Comments(0)