2014年 07月 14日
天保六歌撰 地獄の花道
マキノ雅弘の生涯260本を超えるフィルモグラフィの多くはセルフリメイク作品である。
マキノは戦前戦後を通じて、同じ物語を、役者を変え、会社を変えて何度も語りなおしたわけだが、マンネリズムに堕するどころか、そのどれもが面白いという点において、実に巧みで話し上手な映画監督であったことがわかる。
この『天保六歌撰 地獄の花道』も1952年の自作『すっ飛び駕』のセルフリメイクに当たる河内山宗俊もの。
『すっ飛び駕』は大河内傳次郎、河津清三郎による白黒・スタンダードサイズ、脚本・伊藤大輔、撮影・宮川一夫という最強の布陣。『次郎長三国志』スタートと同じ年の作品で、とてもエネルギッシュな作品だった。
ほぼ同じ内容を、市川歌右衛門、中村嘉葎雄、カラー・シネスコで作った今作は、東映時代劇の枠に収まっている分、エネルギッシュさよりも端正さが印象に残る。
ラストカットはどちらも同じく、御用提灯の群れの中を行く河内山宗俊であるが、こちらはシネスコ画面の右側に、桜が妖しく美しく輝いていた。
by isoda8823
| 2014-07-14 17:14
| えいが道
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