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最近観たもの

森繁久彌死す。
森繁の出演作はあまり沢山見れていないが、『次郎長三国志』の森の石松はとても良かった。

『アンナと過ごした4日間』(監督:イェジー・スコリモフスキ)

やっとこさ観に行った。
観よう観ようと思いつつ、なかなか映画館に足が向かなかったのは、
ポスターや予告編から醸し出される重苦しい空気に負けてしまっていたからだ。
実際の本編も、ポーランドの片田舎が放つ重苦しい空気に支配されている。
しかし、時折挟まれる、思わず笑ってしまうコントのような瞬間(例えば、窓の前で滑って転んでしまうところや、祖母の墓に報告にいくところなど)が、その重苦しさを晴らしてくれる。

いや、そもそもこの映画の主人公の行動そのものが限りなくコント的ではないか。
好きな女の部屋に潜りこんでタオルの匂いを嗅いだり、足の爪にマニキュアを塗ったりする。
バカ殿で女中の部屋に忍び込む志村けんのようだ。
女が急に目を覚まして驚くと、寝ぼけていただけだったというところもコントっぽい。いや、こういう場面は過去の映画にもあったんじゃないか。つまり、志村のコントが映画的ということか。

ヘリコプターのシーンには非常に興奮する。


『スペル』(監督:サム・ライミ)

これは最高!
サム・ライミの面目躍如。ホラー映画という枠に縛るのがもったいないくらい、素晴らしい職人的技術に支えられた娯楽映画として成功している。
サム・ライミの凄いところは、「やりすぎる」ことで、恐怖を突き抜けて笑いにさえ転化させることを「意識的に」やっているところだ。谷岡ヤスジの鼻血ブーをあんなに見事に実写化(初めて実写化したのは江崎実生であるが)したのがサム・ライミであることを日本の映画人はどう考えているのだろうか。

最後に訪れる衝撃のラストシーンは、終盤の結構前には大体オチが見えていても、やはり衝撃的。見事としか言いようがない。
力技で引っ張っていく作品ではあるが、その力技を支えているのは一級の演出力であることを忘れてはならない。必見。
by isoda8823 | 2009-11-11 13:37 | えいが道 | Comments(0)