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21世紀鉄仮面

1970年代は、仮面ライダーの登場により変身ヒーローブームが加熱、
特撮ヒーロー番組が量産された。

生産量に比例して、何のために作ったのか分からない駄作も増えるが、
その中で、妙に偏ったつくりのエキセントリックな作品が時々生まれる。
その多くは、作品の一種攻撃的な姿勢により、ヒーローものの本来のターゲット層である子供たちには受け入れがたく、陽の当たらないまま1~2クールの短い生涯を閉じるわけだが、
ほんの一握り、その番組を観て琴線に響いてしまった子供たちの心に、油汚れのごとくしつこく残り、数十年のときを経た後、「実はこんな凄い番組があった」という言葉と共に、「カルト番組」という新たな性格を得て、再び世の中に生を受ける。


『シルバー仮面』の第1話、第2話は実相寺昭雄が演出を、佐々木守(故人)が脚本を担当している。
特撮ファンにとって、このダブルネームはまさに神格化(善悪両方の意味で)されている。
『ウルトラマン』「故郷は地球」を、『怪奇大作戦』「京都買います」を生んだコンビだ。
それまで変化球を投げ続けてきた2人が企画から深く関わり、始めてパイロット版を手がけたのが『シルバー仮面』だった。
宇宙人から狙われ、地球人からも疎まれ、旅から旅を続ける孤独なヒーロー像は画期的なものだったが、あまりにも暗く地味な物語は、人々の心を多く掴むまでには至らなかった。
特に実相寺・佐々木コンビの第1話、第2話は本当に暗く(画面が)、地味にもほどがあるくらい地味で、実相寺自身をして「失敗した(視聴率的に)」と言わせしめた。
が、現在はそのハードな物語から、「カルト作品」として特撮ファンの間では評価が高い。

1・2話に関して、正直出来がいいかというと、そうでもない。
実相寺作品として見ても、傑作とは言いがたい。
やはり、パイロットを担当するに当たって、気張りすぎたのだろうか。
気合入れすぎて空回ったような印象がある。
シルバー仮面、チグリス星人のデザイン等、素晴らしい点があるだけに、非常に惜しい。

そのシルバー仮面が、『シルバー假面』として復活する。
佐々木守が残した遺稿を元に、キャラクターデザインを前作と同じ池谷仙克が手がけ、
第1話の演出を実相寺昭雄が担当する。
今回の『シルバー假面』はリメイクではない。
タイトルとデザインの基本ラインのみを受け継いだ、完全な新作である。
舞台を大正時代の帝都・東京に移し、殺人事件を追う陸軍大尉と、彼をピンチから救う謎の女性(彼女こそがシルバー假面!)を主人公とした物語。

確かに、シルバー仮面のデザインは、現代よりも大正・昭和初期の方が似合うかもしれない。
実相寺が最も得意とする世界観で繰り広げられる新たな冒険に、期待せずにはいられない。
by isoda8823 | 2006-08-02 16:09 | Comments(0)