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取らぬ狸の皮算用

観ましたよ。
『花くらべ狸道中』(監督:田中徳三)

観よう観ようと思いながら早一年、
前回の『濡れ髪牡丹』の効用もあって、やっとこさビデオ借りました。
戦前から続く「狸御殿」シリーズの一本。
ちなみに鈴木清順『オペレッタ狸御殿』(‘05)はシリーズの最新作ということになります。

「狸御殿」シリーズは『オペレッタ~』と今作の2本しか観ていないので、ほかの作品がどうかは分からないんですが、非常に舞台チックな造りでした。
「狸御殿」というのは、シーン間を歌と踊りでつなぐレビュー映画で、大映撮影所のどでかいスタジオの中に建てられた書割の森や宿場町のセットの中を市川雷蔵と勝新太郎(座頭市より前)が歌って踊って飛び跳ねる、今からすると、ちょっとばかしシュールなシーンも満載のポップで洒落た映画でした。

話が横道に逸れますが、市川雷蔵の当たり役となった「眠狂四郎」、そして勝新太郎が故・田宮二郎と組んで大人気シリーズになった『悪名』。実はどちらの作品も、1作目は今作の監督である田中徳三が撮ってるんですよ。
今作では雷蔵、勝新ともにコミカルな芝居をさせていた田中監督ですが、撮りながら、2人が本当に輝く作品は何か、考えていたのかもしれませんね。
(今作の公開が1961年の1月。『悪名』の公開は同年12月。『眠狂四郎殺法帖』の公開は1963年の11月)

時代劇だが時代考証は一切無視。
勝新は「グッドバイ」なんて言っちゃうし、狸の髪の毛はほぼ金髪。
話も話で、狸の大王選挙に候補代理で出るために、
不良狸の雷蔵と勝新が、噂の弥次さん喜多さんになりすまし、一路江戸を目指して珍道中。
敵対候補の娘の色仕掛けもくぐり抜け、最後は愛の力で全部まとめて一件落着。
こんなの有りかと目を疑うが、そこは天下の狸御殿。
狸に化かされたと思って、試しに一度、ご覧になってくださいな。
by isoda8823 | 2006-07-07 14:37 | えいが道 | Comments(0)