人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ホーリー・モーターズ

『ホーリーモーターズ』(監督:レオス・カラックス)

痛快なほどデタラメ。
素晴らしい初カラックス体験だった。
今作はその魅力のほとんどをドゥニ・ラヴァンの身体が負っている。
様々な役柄に変身して、歩き、鎌を振り回し、セックスし、アコーディオンをかき鳴らし、銃を撃ち、雨の中を血だらけで彷徨い、メルドする(まさにメルドするとしか言い様がないので)ドゥニ・ラヴァンの身体そのものが、この映画を駆動させる神聖なる原動力「ホーリーモーターズ」である。
散りばめられた過去の映画へのオマージュも楽しく、ジョルジュ・フランジュの『顔のない眼』の如き仮面の登場にニヤリとし、「ゴジラのテーマ」が鳴り響く様には、改めて伊福部昭の偉大さを感じたものだった。まさか最後に『マックス・モン・アムール』が来るとは思わなかったけども。

良かったところをつらつらと書けば、まずは指を噛みちぎるところで、「あ、そこまでやるのね!」となぜか嬉しくなった。
カイリー・ミノーグとの一連の場面も素晴らしくて、歌はもちろん、その結末に至るまで、非常に感動的。
「ごめん、次のアポがあるから」のくだりも良かったなあ。
非常に喜劇的な作品でもある。

わけわからんと言えばわけわからんのだが、圧倒的に面白かった。
最後の会話は、おそらくフィルムの話で、今作がデジタルで撮られたことを思うと、少し切なくなった。
by isoda8823 | 2013-04-25 18:42 | えいが道 | Comments(0)