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言葉だけでは/仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE

『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』(監督:坂本浩一)

ご贔屓の坂本浩一監督作品。毎回アクションてんこ盛りですから、今回はどんな感じだろうと思ったら、やっぱりてんこ盛りでした。やや盛りすぎ。

ちょうどテレビ本編も最終回直前というタイミングで、非常に盛り上がっている段階での映画公開だったわけですが、テレビの盛り上がりに映画が勝てていたのかという部分では、トントンまたはテレビの方がやや優勢という感じでしょうか。
明らかに監督の力点が、木下あゆ美、原幹恵、そして長澤奈央(たった2シーンしか出てないのに!)に注がれているのが丸分かりな感じが微笑ましいのですが、他の部分との熱情の差(決して手抜きはないのですが、被写体に対する熱情が明らかに違う)が気になったのでした。

...原幹恵はキューティーハニー経験者であり(佐藤江梨子より断然原幹恵!!!)、アクションも経験済み(それも監督は横山誠だ)なので、非常にキレのあるアクションでホレボレしたのですが、だからと言って序盤のアクションシーンは長過ぎるのではないかと思いました。
まだ宇宙に行ってもない(本題に入っていない)段階であれだけたっぷりやられると、中盤以降のアクションがお腹いっぱいで見れなくなりそうです。
ただし、実際はアクションが食傷気味になりかけた時に絶妙のタイミングで浪花節を挟んできたりするので、結局最後まで観れてしまうのですが。

その浪花節展開に関しても、内容は良いのですが、いまひとつ乗り切れない感じがあって。これはおそらく「感動」を台詞に託している部分が大きいからではないかと考えています。
「皆の絆=スイッチ」という図式を成立させるために、結構台詞を割いているような気がしまして。「絆の力があればスイッチが完成するから、みんなに40個のスイッチを押してもらわねば云々」辺りの説明がね、本当に文字通りの(こうやれば感動が生まれるという)説明なので、少し興ざめするというか、感動の条件を提示されて、それを達成してハイ感動ってなかなかならないわけですよ。
流星が原幹恵に仲間への思いを伝えるところとか、別に悪い台詞ではないんですが、台詞だけなんですね。それは「絆」というテーマの説明にしかなっていない。
反射的にグッとは来るけど、響いてはこないのです。

「グレンラガン」の時にも感じたのですが、中島かずきの「熱さ」って「言葉」なんですね。行動より台詞のテンションで盛り上げようとしている。それは生身の役者がライブで言葉を発する舞台という場では凄い力を発しますが、映像はその部分で根本的に違うんじゃないかと思います。
映像においてはモーション(行動)がエモーション(感動)を呼ぶのだと思っている僕には乗り切れない部分があるのです。

「フォーゼ」のレールを敷いたのは中島かずきではあるけど、実際に列車を運行して感情的な部分を担ったのは三条陸なんだなと改めて思った次第です。

とか書いておきながら、弦太郎とXVⅡのやりとりにはしっかり感動してしまった私です。ダサくないガンアクションが見られる、日本ではトップクラスのアクションドラマですので、お子さん連れて、是非。
by isoda8823 | 2012-08-07 15:49 | えいが道 | Comments(0)