人気ブログランキング | 話題のタグを見る

野良猫ロック セックスハンター

『野良猫ロック セックスハンター』(監督:長谷部安春)

あまりにも面白くて、約90分があっという間に過ぎ去ってしまった。梶芽衣子のツンデレビッチぶりは勿論、安岡力也のハンパない存在感にも凄く惹きつけられたのだけれど、藤竜也が演じるバロンという人物の造形の歪さがとにかく素晴らしかったよ。

バロンは幼い頃、姉が米兵に強姦された現場を目撃し、なおかつそれに対して何も自分が出来ず、ただ黙って見ていることしか出来なかったことが強烈なトラウマとなって、女を抱くことが出来なくなってしまった。だけでなく、憎しみの矛先がハーフに向かい、街中のハーフを全員街から追い出そうとハーフ狩りをおっぱじめるんだ。
彼の天使は梶芽衣子で、彼女だけは誰にも手を出させまいと守ったりするんだけど、梶芽衣子がハーフの青年・カズマ(安岡力也)にホの字だとわかると、梶の仲間でカズマの生き別れの妹・メグミを手下たちに強姦させるんだ。歪みすぎだよな!

手下たちが強姦をしたり、ハーフを痛めつけたりする時も、バロンは決して自分から手を下したりはしない。いつもジープからその光景を見ている。
彼は「目撃する」ことで復讐を遂げようとしたんだな。「目撃してしまった」ことから全てが始まったのだから。
バロンの姉の行く末は劇中では触れられないのだけれど、バロンは姉が米兵に強姦されたその日に生まれてしまった怪物だ。ある意味では米兵と姉の間から生まれたハーフであるバロンが、最後にカズマと撃ち合いの末に共倒れとなるのは必然だろう。

バロンの狂気じみた、それでいて空虚な笑い声が耳にこびりつく傑作『野良猫ロック セックスハンター』。必見。
by isoda8823 | 2012-06-29 12:33 | えいが道 | Comments(0)